地下空港のシネマ部門・真珠舎の第一弾・短編映像作品『凪の一日』、大好評配信中です。本日は、今回の企画の経緯や、撮影のこぼれ話などをお届け致します。
この映像作品『凪の一日』のキッカケは、約20年以上前。主宰の伊藤靖朗が学生時代にリチャード・リンクレイター監督の映画作品『恋人までの距離(ディスタンス)』を見て感動し、急遽、深夜に東京都三鷹市から自転車で旅立ち、そこから翌日の午後にかけて千葉県の銚子市犬吠埼まで旅をしたことです。その時の美しい犬吠埼が原風景となり、長い時を経てこの作品へと育ってゆきました。
その頃から、映画創りは伊藤、そして地下空港の憧れであり、伊藤は近年、台本執筆作品(3DVR『攻殻機動隊 VIRTUAL REALITY DIVER -SIGN』)がヴェネチア国際映画祭に選出され正式参加したり、俳優・磯村勇斗さんの初監督・短編映画『機械仕掛けの君』(WOWOW製作)の脚本を担当することで、より一層、映画づくりへの思いを強くしました。
そしてコロナ禍の中で、いかに舞台芸術集団 地下空港のクリエイションの灯を絶やさず、発信を続けるか、と考えた時、地下空港が小さな映画プロダクションとして立ち上がれば、自分たちの物語や、美的な感性をより広い形でお客様とシェアできるのでは、と考えこの度、シネマプロダクション・真珠舎と名づけ映画部門をスタートしたのです。
その主演を務めて下さったのは、俳優・藤原薫(ふじわらかおる)さん。映画『告白』など数々の映像作品や、地下空港の舞台『ポセイドンの牙』の主演・須永宇宙期役を演じた実力派の若手俳優さんです。今回は、千葉県銚子市での2日間のロケにて、極寒の海辺や暴風の吹き荒れる海岸などでの過酷な撮影に挑みながらも、笑顔の溢れる少年・凪君を演じ切ってくださいました。
そして地下空港の所属俳優・田代絵麻(たしろえま)と野田孝之輔(のだこうのすけ)は、初の夫婦役に挑み、普段の舞台におけるパワーとインパクトの演技から一転し、喪失を抱えた男女の役柄を抑制的に演じています。また若手では小池俊博(こいけとしひろ)さんが地下空港作品初参加。フレッシュながら落ち着いた佇まいを見せてくれました。
銚子での撮影クルーは、俳優が4名、スタッフが監督含めて2名と、感染対策を考慮の上、最小人数での撮影となりました。そんなハードな創作プロセスの中でも、熱い俳優陣とスタッフに恵まれ、さらに銚子の皆さまがとても暖かくロケ撮影を許可してくださり、美しい銚子の風景(犬吠埼、銚子電鉄、屏風ヶ浦、キャベツ畑、君ヶ浜、飯沼観音など)と共に物語を紡ぎ出すことができました。皆さまに心より御礼申し上げます。
さて、今回の第一歩はこれから地下空港・真珠舎が目指す大きな目標に向けた第一歩です。ぜひ今後も、真珠舎の作品発表を、どうぞお楽しみに!
地下空港管制塔